発泡酒とビールの違いと女心がさっぱりわからない僕です。
最近やっと涼しくなって来ましたね。
たけし軍団のダンカンの小説処女作、「パブロフの人」を読みました。
彼女曰くなかなかの話題作だそうで東京ではなかなか売ってなかったのですが、ふと立ち寄った福岡の丸善にあったので購入しました。
内容は、介護疲れで両親を殺害してしまった51歳の男性とその裁判に出てくる裁判員にまつわる話。
後半はどちらかといえば裁判員の描写に割かれる割合が大きかったようにも思います。
登場人物のキャラ設定は(必要以上にと言ってもいいほどに)全員濃く、わかりやすい&読みやすい内容となっています。
介護疲れ、裁判員制度、死刑制度、そういった時事的であったり長年論争にされされてきた問題の幾つもが、目をそらし難いほどどんどん出てきます。
小説そのものは、過度にインパクトを持たせすぎた部分があるかも知れません。また、言いたいことが全面に出すぎて、描写がくどいと思う部分もあるかも知れません。
しかしながら、小説を読みながら私は、自分の両親のことを考えてしまいました。
色々な問題に直面した時、良いか悪いかを判断するというのは、少なくとも私にとっては、とても難しいことです。
自分が当事者にならないとわからない問題もあるでしょう。でも進んで当事者になる人間も少ないでしょう。
この小説の登場人物は、不愉快な人物もいれば好感の持てる人物もいます。
しかしながらそれらの人物は、現実に存在する人物たちの一部を凝縮しただけに過ぎず、決して妄想や幻想の産物ではないと思います。
自分の行いが間違っていると思いながら行動し生きている人間は、あんまりいないと思います。
他人に腹が立ったり、失望したり、悔しくなることもあると思いますが、皮肉にもそれはしばしば、「正しいと思っていること」同士の衝突だったりします。
そして、我々が普段様子をうかがったり、基準としている「常識」というものはあくまで個人的なものであり、それが遍く広い範囲に共有されているなんてことはありません。
(繰り返しになりますが)小説としては未熟かも知れません。
しかし何かを感じたり考えたりすりきっかけになることは、「パブロフの人」なる題名を持つこの本の大きな役割だと思います。
私事ですが、最近、区立図書館に行ったり、また読書を楽しむ時間が増えてきたように思います。
色々な事を考え、個人的な所有物である「常識」が他人のそれとも共有できる範囲を模索する行為の一助となれば、と思うと、いかに仕事が溜まっていようとも読書をするモチベーションを維持することができるのです。
(これがオチです)